正に地獄絵図
「私と付き合ってください」
突然の発言に、静まり返る教室。
皆の視線は勇気ある発言をした女の子に集中していた。
そして、勇気ある女の子の視線の先には、この学校の王子的存在の男の子がいた。
王子はキョトンとした顔で聞いていたが、次の瞬間笑顔になり
「うん、良いよ!」
と元気良く返事をした。
その返事を聞くと女の子(普通に可愛い)は飛び上がらんばかりに喜び、しまいには踊りだしそうなくらい嬉しそうだった。
教室の女子(一部の男子)は凍り付いていた。
無理も無いだろう。
学校のアイドルの王子が遂に一人の女の物になってしまうからだ。
勇気ある女の子に嫉妬の視線がいくのも頷ける。
しかし、次の瞬間にその立場が逆転する事になろうとは、誰も知る良しも無かった。
「で、何処に付き合えばいいの?」
無邪気に聞いてくる王子の顔を、勇気ある女の子は凝視した。
教室は再び凍りつくが、王子の発言を理解した途端、
ワァ〜〜〜〜〜〜、ヤッター、キャホー、これで俺のもんだー!
と口々に叫びだした。
王子は?と顔をハテナマークにして困っていた。
きっと自分が何をしたのか理解していないのだろう。
末恐ろしい王子である。
悲惨な運命を辿った女の子は泣きながら教室を出て行った。
次の日
「オレと付き合ってくれ!」
「うん、良いよ」
こうして一日一人撃沈し行き、遂には全校生徒を振ると言う快挙を成し遂げた。 ※全校生徒80人の分校である。
ありがとう王子。
この記録は誰も抜けないだろう・・・。
「この学校の男子はどうなってやがる!ケッ!!!」