Punish Bad Wizard




『己で選んだ』 『運命でしかなかった』 『心が選択した』 『世界が導いた』

そして始まりは血塗られていた。


プロローグ



『貴様のような子供にまさか私が殺される事になるとは、な』
目の前に立つ男が言う、その男の胸には自分の持つ剣が深々と突き刺さっていた。そこからはまるで冗談のように真紅の血があふれ出していた。まだ幼さの残るその手には、初めて人を斬った感触が残っていた。
『お前もこちら側の人間になるつもりなのか』
男の問いに視線だけで答える。
『そうか、流道るどう、お前はどこまで引き続ける事が出来るのかな?』
答える必要は無い。そう自分は答えた。
『そうか』
軽い笑みを浮かべながら男が言った。
ブワッ!!
唐突に突風が吹き視界が砂嵐に変わる。何時の間にか男の声は聞こえなくなっていた。代わりに耳元で風が唸っていた。
視界が開き、音が戻ると景色は変わっていた。
無機質な部屋の中央に円卓があり、そこに六人の、明らかに自分より年上の人間が座って自分を見ていた。
その中の一人が声をあげる。
『それでは、魔法庁賢人会代表議会六星賢者けんじんかいだいひょうぎかいろくせいけんじゃの名において特異例である第七席を任命する』
それを自分は無感動に聞いていた。凄い事なのだろうがその地位で自分がすることは…………。
その時また突風が吹いた。
視界が砂嵐に変わり、耳元で風が唸った。
次に世界が戻るとそこで自分は泣いていた。幼い自分は無力さをかみ締めながら泣いていた。そばにいる一組の男女が泣いている自分を慰めていた。腕の中で飼っていた猫はピクリとも動かずに冷たくなっていた。
だが泣いているだけの自分に変化がおきた。突然左眼が紅く光った。すると体の中から得たいの知れない、膨大な『何か』が湧き上がる間隔が襲い掛かってきた、そして辺りが激しい光に包まれて………。


それは少し昔の物語。光の如く時は流れて今も未来も過去へと変わっていく。