欲望うずまく






とある高校の文化祭に俺は来ている。

此処の高校ではクラス毎に出し物をしている様だ。

2年A組はポテト、から揚げ販売とかいてある。

美味そうだ、寄ってやろう。


「いらっしゃいませ〜」


元気の良い声がテントの中に響く。

言い忘れてたが、クラスごとの出し物はテント(運動会でよく見るテント)を外に張ってやっているようだ。

教室では、この一年の学校行事を紹介している。


「あのー・・・」


むっつり黙ってお店の目の前で立っていたので、挨拶をして来た女の子に心配されたようだ。


「いや、大丈夫だ。失礼した」
「はー。それでご注文は?」


可愛く首を傾げてくる。


「お姉さん下さい」
「すいません。うちは女子高校生しかおいてないんですよ」


……中々やるようだ。


「ポテト一つ」
「ありがとうございます。150円になります」


ズボンの後ろポケットから財布を取り出し、150円を支払う。


「ありがとうございましたー!」


業務用スーパーで買ったポテトの味がした。


……………美味い!!!



ポテトをパクつきながら運動所の中心に行ってみた。

そこには祭りでよく見る矢倉が立っていた。


「後三分で餅まきが始まりまーす。参加する人は運動場に集まってくださーい」


ふむ。どうやらあの矢倉から餅をまくみたいだ。

どうやら俺は運がいいみたいだ。

取った餅を今夜の晩御飯にしてやるぜ!!

俺はベストポジションを求めて人の中を歩き出す。


「ふむ、この辺だな」


俺は投げる人の力と飛距離、そして方角を計算して場所を決めた。


「えー、みなさん。今日は我が校の文化祭に来ていただいてありがとうございます。今回の文化祭は記念すべき10回目と言う訳で、餅まきを企画させていただきました。みなさーん、頑張ってお餅を持って帰ってくださーーーい」
「おーーーー!」


俺はその他大勢(敵)と一緒に雄叫びを上げた。

そしてばら撒くお餅の山。

矢倉の上で「おにはーそとー、ふくはーうちー」と叫んでいる女の子は無視した。

きっと節分の日の予行演習なのだろう。

そのお餅を、いや、晩御飯を俺は取りまくる。

隣に居たおばちゃんに大きなおしりで弾かれても、おじいちゃんに体当たりされても俺は負けない。

自分の取得したお餅の数を見て、まだ足りないと感じた俺はお餅を投げている女の子を睨みつけた。

投げている女の子は俺と目が合うと、冷や汗をタラタラ流して、慌てて俺目掛けてお餅を投げてきた。

俺はそれをほとんど空中キャッチして下に落とす数を減らす。

下に落ちたお餅におばちゃんが群がる。

ふとおばちゃんの中に見覚えのある顔があった。

俺の本音トークをスルリとかわしたポテト売りの女子高生である。

女の子はおばちゃんの中でたくましくお餅を取り合っていた。

ぼーっと女の子を眺めていると、おばちゃんのヒップアタックで群衆の中からはじき出されてしまった。

そこで気付く。

矢倉を中心にうずまく人間の欲望。

具体的に言うと、お餅に目が眩んで地獄の底からやって来た悪魔達が、矢倉の周りで死闘を繰り広げている感じである。

そんな中で一人輝いて見える人が居る。

そう、あのポテト売りの女子高生である、

悪魔達を恐れず、まるで勇者みたいにお餅を回収していく。

勇者女子高生はお餅を抱え切れないほど回収すると群衆の中から脱出してきた。

餅まきはまだまだ続きそうな雰囲気だった。


「あなたは、勇者ですか?」


群集から出てきた肩で息をしている女子高生に聞いてみた。


「えっ?私が勇者?やっぱりあなたは面白い人ですね。私は怪盗ですよ」


怪盗女子高生はそういって立ち去って行った。

どうやら私はお姉さんより女子高生に引かれ始めているようだ。